第117章

新谷卿華はスケッチブックを受け取ると鞄にしまい、そのまま踵を返した。

「ありがとうございます」

数歩も行かないうちに、金田川浬が正面からやって来る。

「見つかった?」

「見つかった。拾ってくれた人がいて」新谷卿華は鞄を軽く持ち上げてみせた。

「よかった。C区のほうに、君の条件に合いそうな生地が何点かある。見に行こう」

金田川浬はごく自然に彼女の隣へ並び、二人は肩を並べて歩き出す。

新谷卿華は顔を傾けて金田川浬と話しながら、生地の質感について意見を交わした。口元には、ふっと力の抜けた笑み。

ソファに腰掛けた服部放川は、二人の背中が遠ざかっていくのを黙って見送っていた。

金田川...

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