第119章

立花真淵は飲み終えた紙コップを脇のゴミ箱へ放り投げると、長い脚で地を蹴った。全身から噴き上がる殺気を隠しもせず、展示館の出口へ大股で向かう。

「真淵?」

助手席にいた須藤郁夜が、彼の唐突な離脱に目を見開く。慌ててドアを押し開け、追いかけた。

わずか十メートル。真淵は数歩で詰める。金田川浬も、服部放川も視界に入れない。まっすぐ手を伸ばし、新谷卿華の手首を鷲づかみにした。

力は凄まじく、鉄の万力みたいに細い骨を締め上げる。

「来い」

冷え切った声。拒む余地など与えない。

卿華の手首に鋭い痛みが走る。眉をきつく寄せ、必死に振りほどこうとする。

「立花真淵、何のつもり? 放して!」

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