第122章

古沢正言は高級オーダーメイドのスーツに身を包み、腕には江口伊予を添えて、ちょうどバーの入口へ差しかかったところだった。そこで彼は、路肩でもみ合っている二人の姿を一目で捉える。

眉間に深い皺を刻み、古沢正言は大股で近づいた。乱れた新谷卿華の髪、酒気で火照った頬。次いで、顔色を鉄のように沈めた立花真淵。状況を見れば見るほど、彼は当然のように説教の顔を作る。

「卿華、人目のあるところで――もういい加減にしろ」

古沢正言の声は厳しく、いつもの見下ろした調子が滲む。

「真淵は親切で迎えに来てくれたんだ。お前はいつもそうやって、くだらない意地を張る。夫婦の話なら家に帰ってからすればいいだろう。こ...

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