第123章

ドアを蹴り開け、立花真淵はベッドへ向かうと、身を屈めて新谷卿華を柔らかな寝具の上へそっと降ろした。身体を起こし、ネクタイに手をかけた、その瞬間。

ベッドの上の卿華が、突然、びくんと身を折る。

胃の奥がひっくり返るような吐き気が、一気に噴き上がったのだ。

「おえっ――」

避ける暇などなかった。吐瀉物が、真淵の高級なオーダースーツのジャケットと、濃いグレーのシャツを容赦なく汚す。酸っぱく腐ったような匂いが、広い寝室に一瞬で充満した。

空気が、死んだ。

真淵は重度の潔癖だ。服に埃がついただけでも即座に着替える男が、胸元から腿にかけての惨状を見下ろし、ベッド脇で石のように固まる。顔色はみ...

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