第131章

ダイヤのネックレスはベルベットの箱の中に静かに横たわり、赤い薔薇の香りは濃厚すぎて鼻を刺した。

新谷卿華はオフィスチェアに腰掛け、机の上の二つを眺めていた。瞳は一切揺れない。

午後3時半。スタジオのガラス扉が、また押し開けられた。

林田森がアシスタントを二人連れて入ってくる。手には、上品な紙袋が何十と提げられていた。

「奥様、立花社長からの差し入れでございます。午後のお茶を」

林田森は恭しく頭を下げ、いちばん見栄えのする一袋だけを卿華のデスクへそっと置いた。

外の執務スペースは、たちまち騒然となる。

海市でも指折りのプライベートベーカリーの看板スイーツに、手挽きのゲイシャコーヒ...

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