第134章

部屋は完全な闇に沈み、二人は背中合わせのまま、間に半メートルの距離を置いていた。境界線は、はっきりしている。

午前2時。

寝室にあるのは、エアコンの吹き出し口から漏れる、さらさらという音だけ。

新谷卿華は喉が渇いて、ひりつくような痒みを覚えた。ぼんやり目を開け、下へ降りて水を汲もうと身を起こそうとして――動けない。

腰に、がっしりした腕が一本回っている。背中には、温かな胸板。

立花真淵が、いつの間にかあの半メートルの境界を越え、背後から彼女を丸ごと囲い込んでいた。

顎が彼女の頭頂に乗り、均一な呼吸が首筋のくぼみにふわりとかかる。

新谷卿華は、ぴたりと固まった。

反射的に、腰の...

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