第14章

羽田糸の腕の中でひとしきり泣いたあと、新谷卿華は胸の奥に三年も澱んでいた重苦しさが、少しだけ薄らいだ気がした。

涙を拭い、相変わらず血の気のない羽田糸の顔を見ると、申し訳なさが込み上げる。

「ごめんね。私のことで、また糸に心配かけちゃって」

「そういうの、いいから」

羽田糸はむっとしたように白い目を向けたが、声つきはすぐにやわらいだ。

「これからは私がいるんだから、一人で抱え込まないで。……で、退院したらどうするつもり?」

新谷卿華は首を横に振る。

瞳の奥には、ただ茫然とした色だけが広がっていた。

立花真淵のもとを離れたあと、自分にはもう何も残っていない気がしていた。

これ...

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