第140章

その場に立ったまま、彼は手にしたグラスを軽く持ち上げ、口元に挑発的な弧を描いた。

立花真淵の顎のラインが、瞬時にきゅっと張りつめる。

胸の奥で、荒々しい独占欲がどろどろと煮え立った。

迷いは一切ない。長い腕を引き寄せるようにして、新谷卿華をぐいっと自分の背後へ引きずり込む。

大柄な身体が壁になり、服部放川の視線を完全に遮った。

真淵は服部を睨み据える。氷のように冷たい眼差し。警告の色が濃い。

服部放川が、ふっと鼻で笑った。

グラスを置き、長い脚でまっすぐ歩み寄ってくる。

「新谷嬢」

二人の前で足を止め、服部は真淵をまるで存在しないかのように視線で飛び越え、新谷卿華の顔だけを...

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