第141章

新谷卿華は、言葉を失った。

呆然としたまま、服部放川を見つめる。

服部放川はそれ以上近づいてこない。踏み込みそうで踏み込まない、絶妙な距離に立ったまま、底の見えない瞳で彼女を射抜く。胸の奥に隠していた本音を、ほんの少しだけ裂いて覗かせるように。

「いつか、あいつがやっぱりクソ野郎だって気づいたら、いつでも引き返せばいい」

口元には気だるげな笑み。けれど目だけは、ぞっとするほど真剣だった。

「俺は、ずっとここにいる」

そう言い切ると、返事を待ちもしない。踵を返し、長い脚で廊下の奥へと消えていった。

廊下の空気が、ぴたりと固まった気がした。

新谷卿華はその背中を見送る。侵略的な告...

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