第149章

立花馨は、須藤郁夜の絶望に濡れた眼差しを見て、つい心が揺らいだ。

新谷卿華の、あの見下したような顔が脳裏に浮かぶ。胸の奥で反発心がむくむくと頭をもたげた。――どうしてあの女だけ、あんなに得意げでいられるの。

「……いい」

立花馨は奥歯を噛みしめ、腹を括る。

「約束する。私が何とかして、あいつを行かせる」

須藤郁夜は、涙を拭う間もなくぱっと笑って、立花馨にしがみつくように抱きついた。

立花馨からは見えない角度で、須藤郁夜の瞳の奥に、ぞっとするほど陰湿な算段がひとひら走る。

     *

立花本家。

新谷卿華が目を覚ましたとき、時計はすでに正午を回っていた。

カーテンの隙間か...

ログインして続きを読む