第15章

「あんた、ほんとに情けないんだから」

羽田糸は歯がゆさを隠しもせず、新谷卿華をぎろりと睨んだ。けれど、澄んでいるのにどこか疲れの滲むその瞳にぶつかった瞬間、結局はふっと息を吐く。

「……わかった。卿華の言うとおりにする。でも、あの女がこっちに寄ってきたら、私は我慢しないからね」

新谷卿華は口元だけをわずかに引きつらせ、何も言わずに羽田糸の腕を引いた。二人は会場の端、空いているスペースへと身を退ける。

オープニングショーの音楽が鳴り、照明がすとんと落ちた。ランウェイのスポットがモデルを射抜き、布が波のように揺れる。

新谷卿華は深く息を吸い込み、流れていく生地とカッティングだけに意識を...

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