第21章

新谷卿華は奥歯を噛みしめ、前へ進んだ。足首の腫れはじわじわと自己主張を強め、踏み出すたび針の山を踏むみたいに痛む。

数歩も行かないうちに、がつん、と強烈な眩暈が襲ってきた。視界がぶつりと途切れ、闇が落ちる。

身体から力が抜け、彼女は制御もできず前のめりに崩れた。

――来るはずの激痛は、来なかった。

代わりに受け止めたのは、温かくて硬い胸板。

古沢正言がいつの間にか大股で駆け寄っていて、長い腕で彼女を抱き留めていたのだ。

腕の中の女は顔色が紙みたいに白く、冷汗が頬を伝っている。古沢正言の眉間が、みるみる深く刻まれた。

馴染んだ匂いが鼻をくすぐり、新谷卿華は反射的に押し返そうとした...

ログインして続きを読む