第29章

豊田遥は大勢の前で叱責され、顔色が青くなったり白くなったりと忙しい。

「あなた……あなたも、あの人に買収されたんでしょ! みんなして庇ってるんじゃない!」

「庇う?」

羽田糸は怒りに振り切れて、むしろ乾いた笑いを漏らした。迷いなく内線を取る。

「資料室へ。星川創業時の株式引受書を持ってきて」

ほどなくして、秘書が公印の押された極秘書類を抱えて入ってきた。

羽田糸はそれをひったくるように受け取ると、豊田遥の目の前へ叩きつけた。

ばさり、と紙が散る。白地に黒々と印字された名前――新谷卿華。

「目ぇ見開いて、よく見なさい!」

羽田糸の声が床を打つように響き、オフィス全体を震わせた...

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