第53章

それだけじゃない。身体が燃え盛るストーブみたいに熱くて、肌は火照りきっているのに、額からは氷みたいに冷たい脂汗がじわじわ滲み続けていた。

――熱だ。

新谷卿華は鏡の中の自分を見つめた。血の気の失せた顔色、そして不自然な赤みを帯びた目。思わず、かすかな苦笑が漏れる。

この身体は――やっぱり、どこまでも言うことを聞かない。

ここに留まってはいられない、と彼女は悟っていた。

もしこの場で倒れでもしたら、明日にはファッション界の酒の肴になる。下手をすれば、星川スタジオの評判にまで泥を塗ることになるだろう。

新谷卿華は冷水で顔を洗い、残った理性を必死にかき集める。小ぶりのクラッチからスマホ...

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