第54章

新谷卿華は冷えきったローマ柱にもたれた。胃の奥をねじり上げる痛みが、津波みたいに何度も押し寄せる。高熱の眩暈で足元がぐらつき、立っているだけで限界だった。

はぁ、はぁ、と大きく息を吸うたび、冷汗が青白い頬を伝って落ちる。視界が勝手にぐらぐら揺れて、輪郭が崩れていく。

――もう、無理。

膝が抜け、床に崩れ落ちそうになった、その瞬間。

横から伸びてきた力強い腕が、彼女の腕をがしっと支えた。

男物の香水が鼻をくすぐり、霞がかっていた頭の奥に、わずかな光が差す。

金田川浬が出てきたのだと思い、反射的にその腕に体重を預けて立ち直ろうとした。だが顔を上げ、支えている相手を認めた途端、身体が凍...

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