第79章

彼はゆっくりと手を引き、指を脇でぎゅっと握りしめて拳を作った。

それから無表情のまま身を翻し、芝生に尻もちをついていた須藤郁夜を起こしてやる。

「大丈夫か」

立花真淵の声には、感情の起伏が一切なかった。

「平気……ただ、足を滑らせただけ」

須藤郁夜はそのまま立花真淵の腕に縋りつき、まだ怯えが抜けない顔を作る。

金田川浬は新谷卿華の体を離し、怪我がないことを確かめると、冷えた目で須藤郁夜を見た。

「立花社長。そばに置く人間くらい、ちゃんと躾けたらどうですか」

金田川浬の口調は嘲るようで、言葉の刃が一つひとつ突き刺さる。

「この斜面から落ちたら、ただじゃ済まない。故意の加害を事...

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