第84章

古沢正言を睨み据える男の指骨が、ぎりぎりと鳴った。

その場の空気が凍りつくほどの低気圧が、個室を満たしていく。

新谷卿華は立花真淵の正面の椅子を引き、何事もないように腰を下ろした。

金田川浬も当然のように彼女の隣へ座る。

肩を並べる二人の所作は、あまりにも自然だった。

大きな円卓を挟んで、立花真淵の視線が刃のように突き刺さる。

新谷卿華と金田川浬を、逃がさないと言わんばかりに。

個室の空気は、微妙で、張り詰めていた。

長い大理石のテーブルの上で、銀のナイフとフォークが触れ合い、かすかな硬質音を立てる。

ヴィンセントはウェリントン・ビーフを切り分けながら、面白がるように視線を...

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