第89章

古びた鉄門が、開け放たれていた。

新谷卿華が勢いよく庭へ駆け込むと、花壇のそばに立つ立花真淵と須藤郁夜がすぐ目に入った。

立花真淵は仕立てのいいダークスーツ姿で、周囲の荒れた景色から浮き上がるほど場違いだ。

一方の須藤郁夜は白いワンピースを着て、にこにこと子どもたちに飴を配っている。

木下院長がその横に立ち、慈しむような顔で二人を見守っていた。

「卿華、来たのね」

新谷卿華に気づいた木下院長は、嬉しそうに手を振る。

「立花さんと須藤さんったら、本当にご立派でねえ。こんなにたくさん物を持ってきてくださったうえに、屋根の修繕費まで寄付してくださるって言うのよ」

新谷卿華は早足で近...

ログインして続きを読む