第95章

自分の社長の好感度を、少しでも稼いでおきたい――林田森はそう思っていた。

昨夜、立花真淵が新谷卿華を抱きかかえたまま病院へ駆け込んできたときの、今にも人を殺しそうな顔。あれが脳裏に焼きついて、林田森はいまだに背筋が冷える。

新谷卿華は淡い視線で、差し出された食盒を一瞥した。

「……彼が、選んだの?」

「はい。立花社長が、レストランに『薄味で栄養のあるものを』と念入りに」

林田森は勢いよくうなずき、気を利かせて蓋を開ける。

三段になった食盒。いちばん上には、とろりと濃く炊かれた海鮮干貝粥。隣には、フランス風の流心クロワッサンが二つ、きれいに並んでいた。

そして――。

こんがり黄...

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