第96章

立花真淵は、場の空気がふっと変わったのを感じ取った。首を巡らせ、須藤郁夜の視線の先を追う。

新谷卿華が身にまとっているドレスを認めた瞬間、立花真淵の目がすっと細くなった。周囲の温度が、目に見える勢いで氷点下へ落ちていく。

彼は手にしていたシャンパンを置き、人波を割った。纏う気配は凍てつく刃そのもの。大股で新谷卿華の前へ立つ。

金田川浬が半歩身を入れ、彼女の前に出ようとした。だが立花真淵の圧に満ちた視線に射抜かれ、足が床に縫い付けられたように動けない。

「どけ」

冷えた声。刃が喉元をなぞるみたいだった。

新谷卿華は金田川浬の腕を軽く叩き、問題ないと合図する。

そして顔を上げる。澄...

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