第101章 兄貴の俺は、目は見えてるぞ

橘彩花の怒りが、「カッ」と音を立てて再燃した。

「ちょっと!」彼女は不機嫌そうに電話を取る。声は火薬でも食べたみたいに刺々しい。「また何? 来ないでって言ったでしょ、もう私に構わないで!」

だが受話器の向こうの橘徹の声は、父親のように厳しくはない。むしろ、どこか気だるげな笑いを含んでいた。

「言いたいだけ言ったか?」

橘彩花はぎくりとする。勢いが一気にしぼんだ。

「……見てたの?」

「うん」橘徹がくすっと笑う。「いやあ、激戦だったな。俺の『未来の義理の弟』、口げんかの腕は確かに……唯一無二だ」

彼はわざと『未来の義理の弟』のところだけ、噛むように強調した。

橘彩花の顔が「かっ...

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