第104章 自己紹介を忘れた

「夏目リーダー……いえ、代理リーダーとお呼びすべきでしたね。着任されたばかりで、社内の規定にまだ不慣れなのは分かります。でも、ルールがあるから組織は回るんです。リーダーから率先して破るようでは、皆さんが今後どうやってあなたを信頼できるんですか?」

鈴木雪乃が言い終えるや否や、橘彩花が堪えきれないとばかりに動いた。夏目凛の手をぐっと押さえ、そのまま立ち上がる。刃みたいな視線が、鈴木雪乃を射抜いた。

「ふうん、信頼? じゃあ聞くけど、鈴木デザイナー。その格好、どこの安売りで拾ってきたの? それとも露店?」

口元に薄い嘲りを浮かべ、彩花の視線が上から下へ滑る。しわだらけのスーツ、擦り減った黒...

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