第106章 私のために立ち上がる

橘彩花の言葉が落ちた瞬間、社長室にいる全員の視線が、いっせいに鈴木雪乃へ突き刺さった。

鈴木雪乃は震えながら泣きじゃくり、顔を上げる。涙で滲んだ目で橘彩花を見て、そして無表情のまま立つ夏目凛へ視線を移した。

「わ、私……ほんとに、間違ってました……橘さん、夏目リーダー……」

謝罪の言葉だけが喉からこぼれる。けれど、どうすれば「誠意」になるのか分からない。橘彩花の圧に呑まれ、鈴木雪乃は頭を抱えたまま、さらに激しく嗚咽した。

「田中部長」

橘彩花が人事部長へ視線を切る。声は氷みたいに冷たい。

「聞きます。悪意のデマを流して同僚を貶め、挙げ句に相手のキャリアまで潰そうとした社員を、御社...

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