第109章 薬指

「マジなの?! どこにいるの?! 今すぐ位置情報送って! 今日こそ面と向かって、あいつをムカつかせてやるんだから!」

飲み会の席。

国分礼二は接待の輪の中心にいた。周りは軽く口をつける程度か、グラスを片手に談笑しているだけだというのに、彼だけが違う。注がれる端から、一杯、また一杯――喉へ流し込み、空にしていく。

「国分社長……その、どうされましたか」

恐る恐る声をかけた社長の視線が、礼二の左手薬指へ吸い寄せられる。そこには何もない。結婚指輪の跡すら見えない。そして、夏目凛もまた、指輪をつけたことなど一度もなかった。

礼二は低い声で言い切った。

「俺は離婚してない」

「ですが国分...

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