第111章 クソガキ

国分家本邸。

「大旦那様。夏目様より、五千万が返金されております。それと……お言葉は何も」

執事が恭しく差し出したのは、銀行の振出小切手だった。

書斎で茶を飲んでいた国分浩義は、その一言で、ゆるんでいた眉をきゅっと寄せる。湯呑みを置き、受け取った小切手に視線を落とした。

五千万。

その数字が、やけに目に痛い。

返してきた――それだけで、胸の奥が重くなる。申し訳なさが、じわじわと滲み出てくる。

だが同時に、分かっていた。これは夏目凛の意思であり、矜持だ。

何も要らない。国分家とは、もう一切関わりたくない。

国分浩義は喉の奥に溜まった苛立ちを飲み込み、何か言いかけた。すると執事...

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