第120章 1億

国分礼二は、橘徹の言葉に含まれた侮辱の刃で刺し貫かれたように目を真っ赤にした。拳をぎゅっと握りしめ、爪が掌に食い込み、血が滲みそうになる。

だが橘徹は、彼に余計な視線ひとつすらくれてやらない。くるりと身を翻し、呆然としている警官へ淡々と命じた。

「国分社長がお支払いできないなら、法に則って進めてください。判決は判決で」

言い終えるや、長い脚でそのまま立ち去る気配を見せる。

「待て!」

国分礼二の堪えが、ついに切れた。

橘徹が冗談を言っていないことくらい、痛いほど分かっている。今日の件が本当に司法の場へ持ち込まれ、誘拐未遂が確定すれば――国分礼二の名声は地に落ち、国分家の株価は致命...

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