第122章 俺の女を奪うな

「若様、こちらへお戻りください」

先頭に立つ警備部長の声は氷のように冷たく、感情の欠片もなかった。

国分礼二は胸を激しく上下させる。目の奥は血走り、呼吸が荒い。

今日だけは、どうしても夏目凛に会わなければならない。

「どけぇっ!」

礼二は咆哮し、人垣のいちばん薄いところへ突っ込んだ。

命を張ってでも、ここを抜ける。そう決めていた。

だが二歩も進まないうちに、体格のいい警備員が左右から腕をがっちり掴み、持ち上げるようにして動きを止めた。

「離せ!」礼二は必死にもがき、足をばたつかせる。引きずられる拍子にスーツの上着がびりっと裂け、みっともないほどに乱れた。

「若様、失礼いたし...

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