第124章 証拠が足りない

翌日、夏目凛は約束の時間どおり、高坂修治の法律事務所を訪れた。

高坂修治は自らグラスに水を注ぎ、いかにも自信満々――というより、ほとんど挑発的な笑みを浮かべる。

広いデスクの向こうへ戻ると、革張りの椅子にどっかり背を預け、脚を組んだ。気だるげで、余裕たっぷりの姿勢だ。

「国分さんのほうには、もう話を通してある。国分剛正って古だぬきがな、法律で俺に圧をかけようって? まだまだ甘い。世間はあいつを怖がるが、俺は違う。高坂修治はビビらねえ」

その態度を見て、凛はかえって胸の奥が落ち着いていくのを感じた。

橘彩花が連れてきた人だ。やはり、当たりだった。

「高坂弁護士、まずは本題を」

凛...

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