第133章 お前、考えがないと言えるのか

橘徹はスマホの画面を睨み、眉間に深い皺を刻んだ。

あれだけ手を貸してやったのに、結局――見返りひとつ、なしってか?

橘徹がいつ、そんな割に合わない取引をした。

ほぼ同時に、高坂修治からのメッセージが弾けるように表示される。

「サンキュー、徹。ブツ、めちゃ効いたわ。今度飲み奢る。ついでに聞いといてやるよ、夏目さん、あの香水気に入ったかどうか」

橘徹の顔が、瞬時に鍋底みたいに黒くなる。

高坂修治のからかいは一切スルーし、橘彩花のアイコンを開いて、冷えた指で一行打ち込んだ。

「来週、家に戻れ」

送信して、ほとんど間を置かずに返信が来る。

「は? なんでよ! 帰らない! どうせまた...

ログインして続きを読む