第134章 俺に頼んでるのか?

応接室のドアが押し開けられた、その瞬間。

国分礼二はほとんど弾かれるようにソファから立ち上がった。

ついさっきまで陰っていた表情が、来訪者を認めた途端、ぱっと狂喜の光に塗り替わる。

――来た。

本当に、来てくれた。

視線が磁石みたいに吸い寄せられ、夏目凛の姿に釘付けになる。

けれど、彼の胸の内で荒れ狂う波は、相手の心に一滴の波紋すら起こさない。

夏目凛の目は凪いだまま。淡々と国分を一瞥しただけで、すぐに視線を外す。まるで、そこにあるのは取るに足らない置物だと言わんばかりに。

その背後には、会社のデザイン部長――林田明も控えていた。

「国分社長、お待たせいたしました」

林田...

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