第136章 プロ意識

夏目凛はシートベルトを締め直し、運転席の男へ横顔を向けた。表情は、波ひとつ立たない。

「橘社長が言ってた証拠って、何ですか」

橘徹はすぐには答えなかった。

片手をハンドルに置き、もう片方の肘を窓枠にだらりと預ける。バックミラー越しに、国分グループ本社ビルの回転扉を、面白がるように眺めていた。

さっきの一幕は、はっきり見えた。

面白い。

本当に、笑えるほど面白い。

「なに。俺と一緒にいるの、そんなに早く切り上げたいわけ? さっき上じゃ、ずいぶん余裕そうに、あいつと長々しゃべってたのに」

夏目凛の眉間がわずかに寄る。

「橘社長、下でずいぶん待たせました?」

「別に」橘徹はエン...

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