第139章 家業を継ぐ

夏目凛は執務スペースの椅子に腰掛け、指先で机をこつ、こつと軽く叩いていた。

高坂修治から「弁護士費用、倍で」と言われた直後、間髪入れずにボイスメッセージが届く。相変わらず、どこかふざけた調子だ。

「夏目さん、倍って約束、ちゃんと覚えときますよ。……ただ先に言っとくけど、国分礼二がさっき電話でえげつないこと言ってきたんです。『明日にはそのちっさい法律事務所、潰してやる』って。もし本当に国分社長に失業させられたら、責任取ってくださいね?」

音声に混じるからかい笑いに、張り詰めていた神経が少しだけほどける。夏目凛は返した。

「高坂弁護士、冗談でしょう。あなたの腕なら国分礼二にはどうにもでき...

ログインして続きを読む