第14章 埋め合わせを倍にする

「……汚い?」

国分礼二は、国分凛の瞳を見た。冷たく、見知らぬ他人みたいな目。その奥には、みっともない自分の姿がはっきり映っている。

嫌悪。軽蔑。

どんな女の目にも、こんな感情を向けられたことはない。

まして国分凛だ。十年も自分を想い続け、いつだって土埃みたいに卑屈に頭を下げてきた女が――。

侮辱されたという怒りが、脳の最後の理性を一瞬で焼き切った。

「今の、もう一回言ってみろ」

歯を食いしばって吐き出した声は、喉の奥から無理やり絞り出したみたいにざらつき、剥き出しの凶気を孕んでいた。

けれど凛は、余計な視線ひとつ寄こさない。

ふっと目を引っ込めると、宙に固まったままの彼の...

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