第147章 お前は何様だ

同じ頃、裁判所の外――。

「国分社長、落ち着いてください!」

原野が声を潜める。額には汗がびっしょりだ。

「判決はもう出ています。法廷で騒げば、状況が悪化するだけです!」

「控訴する!」

国分礼二は判決書を握り潰す勢いで掴み、手の甲の血管が今にも浮き上がって裂けそうだった。

「今すぐだ。今日中に出せ!」

原野と、その後ろに控える四人の弁護士が顔を見合わせる。

正直、この裁判は――国分家の老執事が、あの婚約契約書を出した瞬間に終わっていた。

白紙ではない。黒々とした文字。国分家の大奥様の直筆の署名。三年の約束。満了と同時に終了。

その協議書の破壊力は、不貞の証拠よりも重い。...

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