第15章 彼女はもう待てない

名取心美は国分礼二の車の助手席に座り、陰りきった横顔を盗み見ていた。

さっき社長室で、涙ながらに訴える芝居を打った。あれで国分凛を泥の中に叩き込めたはず――そう思っていたのに、礼二が彼女を抱き寄せたあと、話はそこで途切れた。

抱き締められている。なのに、彼の身体はどこか硬い。視線はずっと窓の外へ漂い、心ここにあらず。

名取心美には分かっていた。まだ国分凛――あのくそ女のことを考えている。

どうして?

納得できない。三年も耐えて耐えて、ようやく彼の隣へ戻ってきたのに。あと少しで手に入るところまで来たのに。ここでつまずくわけにはいかない。

もう待てない。

国分凛に完全に諦めさせて、...

ログインして続きを読む