第16章 破砕

国分凛はただ冷えた目で彼を見返した。口を開く気力すら、もう残っていない。

「……なるほど、上等だ。後悔するなよ」

国分礼二は怒りが極まったのか、逆に笑ってみせた。彼女の手を放すと、まるで汚物でも振り払うみたいに乱暴に投げ捨てる。

言い終えるなり――バン、と鈍い音を立ててドアを叩きつけ、出ていった。

国分凛は何事もなかったかのようにパソコンの前に座り直し、ヘッドセットを付ける。

画面の向こうで待たせている取引先に、落ち着いた声で会議の続きを再開した。さっきの一幕など、最初から存在しなかったみたいに。

……

翌日。

国分礼二が帰宅したのは、夜更けも夜更けだった。

飲み過ぎた酒が...

ログインして続きを読む