第162章 彼が求めるのは、国分グループだけではない

L市時間。

午前二時。河畔のマンションでは、まだ灯りが落ちていなかった。

国分栄太はソファに身を沈め、指先で一枚の写真をつまんでいる。

SNSから切り取った画像だ。解像度は高くない。だが、写っている人物を見誤るには十分すぎるほど鮮明だった。

夏目凛。

黒いスーツ。長い髪を低い位置で束ね、裁判所の正門を出ていく横顔。背筋は真っすぐで、顎はわずかに上がっている。視線は刃物みたいに冷たい。

「国分礼二の元妻、か」

国分栄太は写真を裏返し、ソファの背に凭れたまま、口元だけをゆっくり吊り上げた。

脇に控える秘書が書類を差し出す。

「国分浩義様のところから、本日連絡が入りました。来週、...

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