第174章 それぞれ腹に一物

「会社のほう、たぶん十日も持ちません」

老執事は言い切ると、すぐに頭を垂れた。叱責が飛んでくるのを待つように。

国分浩義は椅子の背にもたれ、目を閉じたまま、杖を指先で――コツ、コツと一定の間隔で叩く。

たっぷり三十秒。

「重要案件はすべて株主総会の決議を通せ。誰にも越権はさせるな。小口は……」そこで一拍置いて、「剛正に見させろ」

老執事は口を開きかけ、結局、閉じた。

剛正に見させろ。

その一言の重みは、この場にいる全員が理解した。国分剛正は国分礼二の実父だが、親子の関係はとっくに冷え切っている。

国分礼二が社長に就いてからというもの、大きいことも小さいこともすべて自分の手で握...

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