第176章 それぞれの思惑

国分剛正の言葉は、カチンと鳴った箸の音に遮られた。

口を半開きにしたまま、手は卓上に置いたまま。剛正はその場で固まる。

国分浩義は彼を見もしない。俯いて豆腐を一切れつまみ、ゆっくり口に運ぶと、二、三度噛んだ。

「焦るな。飯も食い終わってないのに、もう用件か」

剛正は空気を読んで言葉を飲み込み、茶碗を持ち上げて黙々と二口ほどかき込んだ。

隣で国分雲子が、こっそり剛正の脛を蹴る。

――急ぐな。ゆっくり行け。そういう合図だ。

国分栄太は最初から最後まで視線を上げず、静かに汁物を一口すすっただけだった。

沈黙が三十秒ほど続いたころ、浩義はようやく思い出したように、淡々と口を開く。

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