第20章 酔い覚ましのしじみ汁

国分礼二はまた、連日のように会食やパーティーを渡り歩いていた。

その隣にいるのは、いつだって化粧も隙なく、柔らかな笑みを崩さない名取心美。

――そして本来「国分家若奥様」であるはずの国分凛は、この世界からすっかり消えたみたいだった。

その夜も、礼二は飲み過ぎていた。

後部座席に身体を沈め、苛立ちまぎれにネクタイを乱暴に引く。アルコールが胃を灼くように、きりきりと痛んだ。

心美が気遣うように水を差し出す。

「礼二、飲みすぎ。マンションに帰って休も?」

「別荘だ」

目を閉じたまま、歯の隙間から押し出すように吐き捨てる。

なぜ、わざわざ別荘へ戻りたいのか。自分でも分からない。

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