第25章 キス

彼が、唇を奪ってきた。

その口づけは、甘いものとはほど遠い。キスというより、罰だった。

濃い酒の匂い。胃の奥からせり上がる酸っぱい気配まで混じって、乱暴に彼女の唇を潰してくる。縄張りを誇示するみたいに、行き場のない怒りをぶつけるみたいに。

国分凛は抵抗しなかった。目も閉じない。

ただ静かに――どこか冷めた顔のまま、嵐のような侵入を受け入れていた。

その無抵抗が、どんな激しい抵抗よりも国分礼二を苛立たせた。

欲しかったのは、彼女のもがき、涙、許しを乞う声だ。今みたいに魂の抜けた人形みたいに、好きにされるだけの姿じゃない。

「チン――」

到着を告げる音と同時に、エレベーターの扉が...

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