第36章 削除

名取心美が病室から飛び出したとき、背中はすでに冷や汗でぐっしょり濡れていた。

だめだ。確かめなきゃいけない。

国分礼二が来るのを待つ余裕すらない。彼女は自分でタクシーを拾い、最速で別荘へ戻った。

別荘は、息が詰まるほど静かだった。人の気配が一切ない。

名取心美は靴も履き替えず、そのまま二階へ駆け上がる。狙いははっきりしている。書斎。

国分礼二の書斎は指紋と暗証番号のロックで、彼女には開けられない。けれど――彼のパソコンなら、パスワードを知っている。

それは、彼女の誕生日。

名取心美は大きく息を吸い、主寝室へ向かった。案の定、国分礼二のデスクには私用のノートパソコンが置かれている...

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