第42章 気づかなかった

店員が国分礼二と名取心美を案内し、夏目凛たちのすぐ近くにある空席へ向かっていく。

国分礼二は何気なく店内を見渡し、夏目凛のテーブルを視界が横切った、そのとき――赤いワンピースの背中が、ふいに目の端に引っかかった。

あの後ろ姿……。

細くて、すっと伸びていて、説明のつかないほど見覚えがある。

――彼女か?

そう思った瞬間、礼二は自分でその考えを握り潰した。

見れば、女はさっぱりしたショートヘアだ。

夏目凛は長い髪。

それに、今ごろ彼女はどこかで弱って倒れていて、俺が見つけに行くのを待っているはずだ。こんな場所に現れるわけがない。しかも、あんな……目立つ格好で。

見間違いだ。

...

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