第44章 道端の大きな犬

「帰る?」国分礼二は足を止め、彼女の手を振り払った。闇の中でも目だけがぎらりと光る。

「そうだ、帰る! 凛のところへ帰る! あいつに聞いてやる。いったい何をするつもりだ!」

彼女は礼二をタクシーの後部座席に押し込み、運転手に告げたのは――五つ星ホテルの住所だった。

車は夜の帳をすべるように走る。

国分礼二はシートに深くもたれ、目を閉じたまま眉間に皺を寄せていた。

窓の外、街の灯りが流れていく。見慣れたはずの景色が、だんだんと知らないものに変わっていく。

礼二ははっと目を開け、前の座席の背に手をかけた。声が鋭くなる。

「……この道、別荘じゃない」

「礼二、飲みすぎよ。別荘は遠い...

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