第57章 彼女に恋したのか?

彼は瞬時に察し、慌てて言い直した。

「え、あっ……そ、そうです! 鳴瀬社長のおっしゃる通りでして! 夏目さん、ではデザイン部長のポストの件ですが……」

「林田さん」

夏目凛の涼やかな声が、強くも弱くもなく、その言葉を断ち切った。

「評価していただけたことは、ありがたく思っています。ただ、私はデザインの現場を離れて三年になります。新しい技術も、市場の流れも、学び直して馴染まなければいけません」

少し間を置き、視線をまっすぐに据える。

「最初は一般のデザイナー職から始めさせてください。大学時代の『名前』ではなく、実力で価値を証明したいんです」

コネで入るためでもない。施しを受けに来...

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