第63章 彼の顔に打ちつけた平手打ち

国分礼二の視線は氷みたいに冷たく、そこには一片の温度もなかった。

目の前で計算されたように泣き濡れ、か弱さを振りまく女を見下ろしながら、胸の奥から湧き上がるのは、吐き気がするほどの嫌悪だけだった。

こいつだ。

こいつさえいなければ、夏目凛は俺に意地を張らなかった。

こいつさえいなければ、夏目凛は俺の電話を無視したりしなかった。

こいつさえいなければ、夏目凛が深夜に、ほかの男と一緒にいるなんてことも――!

「礼二……」

名取心美の涙はさらに激しくこぼれた。たった一、二日会わなかっただけで、どうして彼がこんなふうに変わってしまったのか、理解できないのだろう。

彼女は一歩踏み出し、...

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