第68章 彼女はいったい何の専攻なのか

嫉妬と不満のひそひそ声が、がらんとした廊下にやけに耳障りに響いた。

「だめ、こんなの絶対にこのまま終わらせない! なんであの女、来たばっかりで班長なのよ。それに鳴瀬社長に、あんな堂々と色目使って……!」

最初に夏目凛へコピーを押しつけた女社員が、声をぐっと落とし、目にどす黒い光を宿す。

「夏目凛がどんな女か、ちゃんと知らしめないとね」

彼女はスマホを取り出し、エレベーターの方角へそっとレンズを向けた。カシャ、と小さなシャッター音。

……

地下駐車場。

夏目凛が自分の区画に差しかかった、その背中に、穏やかな声がかかった。

「凛」

足が止まる。振り返ると、早足で近づいてくる男が...

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