第69章 奥様が社長を通報した

彼女は、あれほど必死に俺から離れた。ブロックして、姿をくらまして――全部、鳴瀬とかいう男と、イチャイチャするためだったのか。

今すぐあのビルへ乗り込んで、車の中からあの女を引きずり出し、俺のそばに縛りつけてやりたい。二度と、あの男に会えないように。

……だが、できない。

怖かった。

もう一度衝動に任せたら、本当に彼女を、もっと遠くへ押しやってしまう。取り返しのつかない場所まで。

時間だけが、じりじりと過ぎていく。

スマホの赤い点は、やがて――俺にはまったく見覚えのないマンションで止まった。

そして、二度と動かなかった。

国分礼二はシートに深くもたれ、ゆっくりと目を閉じる。

...

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