第71章 あなたを愛したことは一度もない

「……ち、違う……」

国分礼二の頭の中で、ぶわっと何かが弾けた。思考が一瞬でぐちゃぐちゃになる。

「凛、悪かった……ごめん……俺が悪い、ほんとに悪かった……!」

縋りつくように、言葉が勝手に口からこぼれる。声には卑屈なほどの懇願が滲んでいた。

「あのときは、わざとじゃない……こんな大ごとになるなんて、思ってなくて……」

「償う。何でもする。命だってやる! 戻ってきてくれ、凛……帰ろう。家に――」

「償う?」

夏目凛は、途方もない冗談でも聞いたみたいに、鼻で笑った。

「国分礼二。あんたの償いって、価値あるの?」

「人も、金も、愛も。私にとっては、どうでもいい」

一拍置いて、...

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