第77章 俺と結婚してくれないか?

助けて……?

彼女が、俺の命を救った?

いつ?

どうして俺は、何ひとつ覚えていない――?

国分礼二は勢いよく顔を上げた。焦点の合わない瞳が、祖父を食い入るように見つめる。唇だけがかすかに動くのに、声は出なかった。

国分浩義はそんな孫を見下ろし、瞳の奥に残っていた最後の情さえ、すっと消していく。

それ以上、説明はしない。

ただ踵を返し、杖をついたまま、振り返りもせず階段へ向かった。

取り残された国分礼二だけが、そこに立ち尽くす。

……

白いスポーツカーが、静まり返った夜色の街を滑るように走っていく。

車内は、息が詰まるほど静かだった。

鳴瀬優真はハンドルを握ったまま、何...

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